ランニングを趣味にしたサラリーマン2話|再びランニング

ランニングを趣味にしたサラリーマン
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前話では壮太とマラソンの出会いをご紹介しましたが、大学を卒業した壮太に待っていたのは・・・。

順調な人生

社会人突入

壮太は大学を卒業してからは、化学薬品会社で商品開発の仕事をしていた。しかし、残念なことに能力的に他の人についていけないという大きな壁にぶち当っていた。

しかも、壮太が入社した会社は定時はなくて、フレックスタイム制などと言って、結果が出るまで永遠に人を働かせる会社だった。

会社の規模はそこそこ大きかったが、壮太にはこの会社で仕事を続けるのは無理だと早々に悟った。

入社して3年辛抱してから転職するのかどうか考えろと言われていたが、壮太は我慢できなくて1年で会社を辞めた。

会社を辞めた壮太は若さのせいもあって、人生がこれからどうなるのか楽しみにしていた。

3月に会社を辞めて、大学時代の仲間と作った草野球チームで野球をするだけが壮太のやることになっていた。

時間があったので、年齢的に可能だった公務員試験にもチャレンジしてみたが、夏になる頃には試験の不合格通知が手元に届いていた。

さすがにそろそろ仕事を見つけないとな。と焦りが見え始めたころに、各務原工業(かがみはらこうぎょう)の面接を受けると、とんとん拍子に入社が決まった。

当時、壮太は24才独身。

学生の頃から付き合っていた晴美とは各務原工業に入社して1年経たないうちに結婚した。

結婚というと、人生では大きなイベントの一つになるが、当時の壮太は特に何も考えずに結婚を決めた。

結婚して、男の子2人に恵まれた。子育てもろくにせずに仕事ばかりしていたと今でも何かあるたびに、晴美に言われます。

自分としては、そこそこ子育てやっていたのに・・・。というと、晴美からの倍返しが始まるのがお決まりである。

順調な人生に疑問符

その頃、仕事はというと、ことのほか順調で、各務原工業の夢前工場(ゆめさきこうじょう)では35才で工場長に大抜擢されていた。

同僚や先輩方に恵まれた事もあり、少々のトラブルは日常茶飯事的に起きたが、難なく解決していた。

不景気のあおりを受けて、退職者にリストラ勧告もしたこともある。厳しく当たってしまった部下もいる。いろんなことが壮太に待ち受けていた。

休みの日に出勤して、納期に間に合わすために自ら現場作業に入り、指揮もとった。今思えば、壮太は全力で職務を全うしていた。

すべては、会社のために、部下のためにと思って、家族の事は少々犠牲にしてでも仕事を優先していた。

家族には少し悪いことしたなぁと、今となって反省している部分もあるが、当時の壮太にはそんなことは微塵も思わない。

月日が流れるのは早いもので、壮太を工場長に大抜擢した社長も年を取り、社長を退いた。そして、新しく社長が変わると、社内の組織改革が始まった。

あらゆる部署の長が他の者に代えられ、左遷されてやる気をなくして自ら辞めていった人もいる。社長が変わる、恐ろしさを感じていた。

そんな中、壮太は自分の職務を全うし続けた。会社のために・・・と、さらに拍車がかかっていた。

しかし、ある日ふと、このままでいいのか?と疑問が頭によぎった。

なんのために働いている?

仕事だけでは駄目だ・・・・。

このままでは、何か違う・・・・。

ふと、ランニングを思い出す

大きな野望は口にできない

疑問を抱いてからも、月日がながれ、42才の梅雨時だったかな。

ふと、壮太は走ることを思いだした。

走ることなら、自分のペースで出来るし、何と言っても、学生時代に1度とは言え、ハーフマラソンを完走している。

そんな事を考えて、少し余裕を感じていた。

ほんの少しだが、フルマラソン・・・という事も頭をよぎっていた。

しかし、フルマラソンを口にするのはかなりのプレッシャーとなるので、心のつぶやきに留めていた。

この時は、壮太の体重も85kgとなって、もしかして、90kgを超える日も来るのかと、かなりビビっていた。

家の近くには大きな公園がある。

春なら桜もたくさん咲いて花見の人でいっぱいになる公園だ。

思い切って、ランニング用のシューズも買わずに運動靴で少しだけ走ってみると、

あれ、思ったより走れるじゃないか!

と思ったのは、最初の300mほど。

気が付くと、ゼーゼーハーハー息を切らしていたが、学生の頃にハーフマラソンを完走した自負もあるので、意地でも歩かずに走り続けた。

公園の中には入らずに、公園の入り口にタッチして家に帰った。

往復で2kmないぐらいかな。

公園の中を走るスタミナがなかったか・・・と、ショックも受けた。

ようやく始まった、壮太のランニングですが、

たった2kmのランニングというのは、思っていたのとは違う!

この事がハーフマラソンを完走した経験がある壮太の闘志に小さな火をつけた。

その弱々しい火を消さないようにするには・・・。

無理をしては続かないだろうし・・・・。

そこで、壮太はある作戦を考えた。

奇策!足踏み10,000歩

壮太は家の中で足踏みをする作戦を考えた。

例えば、1歩1メートルとして、10km走るには10000歩走ればいいんだな。

小学校の運動会の行進のように、家の中で、足踏みを始めた。行進と言っても前には進みません。

目標は10kmを走れる体になる事である。

家族もびっくりしていたが、壮太は自分が立てた目標に向かって我が道を行く。

夏前だったので、壮太は部屋の中で汗をかきながら万歩計を腰に付けて、週に3回ほど10000回足踏みを続けた。

時間的には1秒間に3回足踏みすると、約1時間で10,000回出来る。実際も1時間ほど足踏みをしていたと思う。

こういう考え方は理系っぽいなぁ。

とりあえず、1ヶ月、家の中でテレビを見ながら足踏みを続けることにした。

目標は10km走れるようになる事!

ランニングを趣味にしたサラリーマン3話|まだ、趣味とは言えない
家の中で10000歩の足踏みを始めたのですが、外へ旅立ちます!

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